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心を育てる保育・教育

 子どもを主体として受け止める保育をどれだけ丁寧にできているかということが、保育の質を決定づける。保育の質というと、施設の整備状況やさまざまなおもちゃ、教材、英会話や体操教室、長時間保育などのサービス等が充実していることなどに目が向くかもしれない。しかし、そうした目に見えやすい部分以上に、子どもと保育者の関わりの質、子どもと保育者がどのように気持ちを交流させながら生活をしているかという目に見えにくい部分こそが何よりも重要である。子どもを主体として受け止める保育によって、子どもの中に主体としての「心」を育むことができているか否か、そこが質の高い保育とそうでない保育の分かれ目である。

 今、日本の保育は大きな危機にある。子どもにさまざまな「力」を身に付けさせるために、子どもに何をさせるか。いかに褒めて頑張らせるか。ルールや規律をいかに教え込むか。そうした「させる保育」、「褒めて頑張らせる保育」、「教え込む保育」によって、子どもの目の輝きが失われていく。さらに、保育現場への競争原理の導入、保育の低コスト化によって、心ある保育者が安心して働きにくくなっている状況もある。現場が疲弊し、保育の継続性が脅かされることは、子どもたちの生命の危機に直結しかねない。

 子どもを主体として受け止めるとは、養護的関わりと教育的関わりを一体のものとして展開することである。そういう意味では、乳児期にも幼児期にも、あるいは保育園にも幼稚園にも認定こども園にも、養護と教育がなければならない。各時期の子どもの姿に応じた形でさまざまな養護的関わりと教育的関わりを行っていくのが、「育てる者」の務めである。そして、そうした関わりが、学校教育にまで広がっていかねばならない。

 

 各時期にふさわしい養護的関わり、教育的関わりとは一体どんなものか。子どもへの関わり方を振り返り、実践を磨くためにどのような方法が有効なのか。そして、子どもの「私」はどんなふうに育っていくのか。

​参考動画:低コスト保育は子どもたちの心にどう映るのか

​参考資料:京都市営保育所移管先選定部会委員として提出した意見書

意見書​(2015年2月提出) 

意見書​(2012年7月提出) 

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